コリは強く揉めば揉むほど悪化する —— “強刺激依存”が身体を壊す仕組み
整体院や整形外科の現場で、肩こり・首こり・背中の張り・腰痛で来院される方から
とてもよく聞く言葉があります。
「強く押されると効いた感じがするんです」
「もっと強く揉んでほしいです」
しかし、臨床家としてはっきりお伝えします。
◆ 結論:強く揉むほどコリは悪化します
強い力で揉まれた直後にスッキリするのは、
**治っているのではなく、“痛覚が麻痺しているだけ”**です。
人体には 痛覚の受容器(自由神経終末) が存在しており、
強い圧刺激が繰り返されると感覚が鈍化します。
つまり、同じ強さでは効かなくなり、さらに強い刺激を求めるようになります。
これは薬物依存と同じ 耐性(tolerance) の仕組みです。
◆ 強い刺激で起きること(筋肉の内部で何が起こるか)
強いマッサージや指圧により、筋肉には以下が起こります。
|
影響 |
内容 |
|
筋繊維の微細損傷 |
筋線維が壊れ、炎症細胞が集まる |
|
発痛物質の増加 |
プロスタグランジン、ブラジキニンが増加し痛みが増す |
|
防御性収縮 |
身体が守ろうとして筋肉を固める |
|
血流低下 |
血管が収縮し酸素供給が減少 |
|
感覚麻痺 |
痛覚の閾値が上昇し「もっと強い刺激」が必要に |
その結果、
筋肉はさらに硬くなり、コリは悪化して慢性化します。
「強く揉まれないと効かない体」になるのは、
回復ではなく 破壊と麻痺の繰り返しです。
◆ “気持ちよさ”と“治る”は別物
強い刺激の直後に感じる気持ちよさは、
脳内でエンドルフィンが放出される快感の錯覚です。
脳が一瞬だけ痛みを遮断するため、
「効いた!」と感じやすいのですが、
その後、炎症と硬化によって状態は悪化します。
体が求めているのは、
強さではなく、血流と柔軟性の回復です。
◆ 本当に必要なのは「正確な圧」と「方向」
筋肉は、強さではなく
✔ やさしく
✔ 遅く
✔ 正しい方向へ
圧を入れた時に最もゆるみます。
筋膜・深層筋に対して
垂直でなく、線維方向に沿って滑らせるように圧を入れると、
血流が回復し、筋緊張は自然に解けます。
強い力で押した時に起こる
反射的な防御性収縮(ガード反応) が出ると改善は進みません。
◆ 典型的な悪循環の例
- 強く揉む
- 痛みが麻痺して一時的に楽
- 微細損傷 → 炎症 → さらに硬化
- 効かなくなる
- もっと強い刺激を求める
- 慢性化/神経過敏化
これが 強刺激依存性患者 の典型です。
◆ 改善への正しいステップ
根本改善の優先順位は以下です👇
1️⃣ 身体の歪みを整える(アライメント改善)
2️⃣ 過剰な筋緊張を解除(過剰筋の抑制)
3️⃣ 弱い筋肉を活性化(拮抗筋バランス)
4️⃣ 血流改善(酸素供給)
5️⃣ 呼吸と自律神経を整える
強刺激はどれにもプラスになりません。
◆ セルフケアは“弱刺激+呼吸”
・肩甲骨を大きく回す
・胸を開く深呼吸
・耳や後頭部周囲をやさしく触れる
・温めて血流改善
このほうが圧倒的に効果的です。
🪷まとめ
- 強く揉むほどコリは悪化し、炎症と硬化が進む
- 一時的に楽になるのは麻痺であり治癒ではない
- 刺激依存になり、強さを求め続ける悪循環が起きる
- 改善に必要なのは“正しい方向への適度な圧”と血流
- 治療の目的は筋肉を壊すことではなく、回復させること
★Youtubeで動画も見られます
https://youtu.be/mQ1Wva2pzJ0
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