「体軸を常に意識しよう(その1)」
― 呼吸と骨盤中間位の神経‐筋学的意義 ―
姿勢は単なる「形」ではなく、呼吸・循環・筋活動・自律神経機能にまで影響する重要な生体制御システムです。
その中核となるのが体軸(からだの中心線)の安定性です。
特に骨盤の中間位(ニュートラルポジション)は、
脊柱の生理的弯曲と呼吸運動を最適化し、
胸郭の拡張・横隔膜の下降・骨盤底筋の協調収縮を促します。
この状態が保たれると、次のような自然な機能が得られます。
- 深い呼吸
- 体幹筋の適切な活動
- 重心の安定
これにより、姿勢制御の「自動化」が始まります。
■ 骨盤中間位と呼吸の科学
骨盤が前傾し過ぎる(反り腰)と、横隔膜が過伸張し腹圧が低下。胸式呼吸が優位になります。
一方、後傾し過ぎる(ねこ背)では胸郭が圧縮され、肺活量が減少。浅い呼吸に。
つまり、骨盤の位置=呼吸の質を決定する主要因です。
特に横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋は「インナーユニット」と呼ばれ、
体幹の安定と呼吸を同時にコントロールしています。
そのため、呼吸が楽にできる位置=機能的に正しい姿勢と定義できます。
■ 正しい体軸を得るための実践法
- 力を抜いて立つ
- 鼻からゆっくり吸気
- 骨盤角度を微調整し、もっとも呼吸が自然に入る位置を探す
ここで重要なのは、
「胸を張る」「背中を伸ばす」ではなく、呼吸の通りを指標にすることです。
筋骨格の「形」ではなく、機能で判断する視点を持ちましょう。
■ 脳神経の再学習
姿勢は「意識」ではなく脳の自動制御によって維持されています。
そのため、短時間でも良いので、日常生活で繰り返し体軸を確認することが大切です。
- 歩行
- 睡眠前の座位
- PC・スマホ作業
- 車の運転
- 立位での休息
このとき、
「呼吸は深いか?」「骨盤は中間位か?」
と自問するだけで、神経系が“最適姿勢”を再学習します。
これは神経可塑性の観点からも非常に合理的で、理学療法・運動療法でも基本戦略です。
■ 続けるほど変化が出る理由
体軸意識を日常に取り入れることで、次のような変化が期待できます。
- 腰部負担の軽減
- 肩・頚部筋緊張の緩和
- 呼吸量の増加と自律神経の安定
- 疲労回復力の向上
- 歩行効率の改善
「形を作る」のではなく、「機能を取り戻す」。
これこそが体軸意識の本質です。
🎥 動画はこちら
鹿児島市小野町 温々堂‐onondou‐|理学療法士・整体師
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