なかなか楽にならない肩こり。脇の下のコリはとってもらいましたか?

いつものマッサージ屋さんで、肩や首をぐいぐい揉んでもらう。その瞬間は気持ちいいのに、次の日にはまた同じ重だるさが戻ってきている。「揉んでもらってるのに、なんで良くならないんだろう」と、心のどこかで思ったことはありませんか。

実はその肩こり、揉んでいる場所そのものが、こりの本当の発生源ではないかもしれません。揉んでもらっている最中は気持ちよく、体もふっとゆるむ感じがするのに、しばらく経つとまた元の重さに戻ってしまう。そんな繰り返しを経験されている方は、少なくないのではないでしょうか。

脇の下に、こりの原因が隠れています

前鋸筋と肩甲下筋

肩こりというと、多くの方が肩の上や首の付け根を思い浮かべます。

もちろんそこも硬くなっていることが多いのですが、その硬さを作り出している「もと」をたどっていくと、脇の下にたどり着くことがほとんどです。

なぜかというと、

肩甲骨(背中にある羽のような形の骨)は、脇の下から胸の横にかけて広がる筋肉によって、胸郭(肋骨で作られる籠のような部分)にくっつけられているからです。

この筋肉のことを「前鋸筋(ぜんきょきん)」と呼びます。

ボクサーが脇腹を鍛えるときによく話題になる筋肉で、肋骨の側面から肩甲骨の内側に向かって、まるで鋸の歯のように何本も走っています。

この前鋸筋がうまく働かずに硬くなっていたり、逆に力が入りにくくなっていたりすると、肩甲骨を正しい位置に支えきれなくなります。

すると、肩甲骨は少しずつ浮き上がったり、外側にずれたりしてしまい、それを何とか支えようとして、僧帽筋(首から肩にかけての表面の筋肉)が本来以上に頑張り続けることになるのです。

表面を揉んでも、その奥で頑張り続けている土台そのものは、あまり変わらないままになってしまいます。

もうひとつ、脇の下の奥、肩甲骨の裏側(肋骨に接している面)には「肩甲下筋(けんこうかきん)」という筋肉もあります。

腕を内側にひねる動きに関わる筋肉で、デスクワークやスマートフォンの操作で腕を体の前に出し続ける姿勢が続くと、じわじわと硬くなりやすい場所です。

この筋肉は文字通り肩甲骨の下に隠れているため、自分では触れることも、気づくこともほとんどありません。

肩甲下筋が硬くなると、腕を体の前に引き寄せる力が強くなりすぎてしまい、いわゆる「巻き肩」の姿勢が定着しやすくなります。

巻き肩になると、胸の筋肉も縮こまり、肩甲骨はさらに正しい位置から離れていく、という悪循環が起こりやすくなるのです。

表面の肩こりだけを見ていると、この巻き肩と肩甲下筋のつながりにはなかなか気づけません。

セルフチェックしてみましょう

肩こりセルフチェック

自身の脇の下がどのくらい硬くなっているか、簡単に確認する方法があります。

  • 片方の腕をまっすぐ真上に上げてみて、耳の横までスムーズに上がるか
  • 上げたときに、脇の下から肩甲骨の外側にかけて、突っ張るような感じや詰まる感じがないか
  • 反対側の手で脇の下(腕の付け根から少し胸寄りの部分)を軽く押さえてみて、押すとズーンと響くような痛みや硬さがないか
  • 腕を大きく後ろに回したとき、片方だけ動きが小さい、または途中で引っかかる感じがないか

これらに一つでも当てはまる場合、前鋸筋や肩甲下筋がうまく働けていないサインです。

とはいえ、これはあくまで目安ですので、痛みが強い場合や、しびれを伴う場合は、無理に動かさず、医療機関でのご相談も検討なさってくださいね。

揉まれない場所だからこそ、こりが蓄積しやすい

肩こりで揉みにくい場所

前鋸筋も肩甲下筋も、一般的なマッサージや自己流のストレッチでは、まず触れられることのない場所です。

理由は単純で、脇の下という位置そのものが、施術する側にとっても触れにくく、力を加えにくい場所だからです。

つまりこの2つの筋肉は、「気づかれにくい」「触れられにくい」という二重の意味で、こりが放置されやすい場所だといえます。

表面の肩や首をどれだけ丁寧に揉んでも、その奥の土台が変わらない限り、しばらくするとまた同じ重さが戻ってくる、というのはこういう理由からくることが多いのです。

こうした姿勢や習慣、心当たりはありませんか

前鋸筋や肩甲下筋は、次のような生活習慣が積み重なることで、硬さや働きにくさが生まれやすくなります。

  • パソコン作業で腕を体の前に出し、肩をすくめるような姿勢を長時間続けている
  • スマートフォンを見るとき、腕を内側にひねって画面をのぞき込む姿勢が習慣になっている
  • カバンをいつも同じ側の肩にかけていて、片側だけ肩甲骨が下がったまま固定されがちになっている
  • デスクワークの合間に、腕を大きく回したり、脇を伸ばしたりする動きをほとんどしていない
  • 猫背気味で、胸が内側に閉じたような姿勢が定着している

思い当たる項目があっても、それはご自身の生活の中で自然に身についてきた姿勢や習慣によるものです。

長年の積み重ねでできあがった体の使い方なので、気づかなかったのも無理はありません。

こうした姿勢は、お仕事や家事、育児といった日々の生活の中で必要だからこそ続けてきたものでもあります。

姿勢そのものをすぐに変えるのは難しくても、硬くなった筋肉を定期的にゆるめてあげることで、体への負担を減らしていくことはできます。

当院でのアプローチ

小胸筋調整

当院では、肩や首の表面だけでなく、脇の下から肩甲骨の裏側にかけての深いところまで、丁寧に手を使って評価し、必要に応じて施術していきます。

肩甲骨がどの方向に動きにくくなっているか、前鋸筋や肩甲下筋がどのくらい硬さを持っているかを確認しながら、表面のこりだけでなく、その土台となっている部分にもアプローチしていくイメージです。

一度の施術ですべてが変わるというものではありませんが、表面を揉むだけでは届かなかった部分に手が届くことで、「揉んでも揉んでも戻ってくる感じ」が少しずつ変わっていくのを感じていただけることがあります。

なお、脇の下は皮膚が薄く敏感な方も多い部位です。

当院では、いきなり強く押すようなことはせず、まず軽い力で状態を確認しながら、お一人おひとりの反応を見て力加減を調整していきます。

痛みが強く出るような施術ではありませんので、その点はご安心くださいね。

また当院では、肩や腕まわりの筋肉だけでなく、お腹の状態も合わせて診させていただくことがあります。

姿勢を支える体の中心であるお腹まわりが硬くなっていると、肩甲骨を支える筋肉にも余計な負担がかかりやすくなるためです。

この「お腹のコリ」という視点については、別の記事で詳しくご紹介していますので、よかったらそちらもご覧ください。

肩こりの背景には、脇の下以外にも、あご・首の後ろ・後頭部・前腕・呼吸の浅さなど、いくつもの見落とされやすいポイントがあります。

それぞれの詳しい内容は、下記の関連記事でもご紹介していますので、よかったら合わせてご覧ください。

【肩こり解消】揉んでもすぐ戻るのは、脇の下のコリが原因って知ってましたか?について詳しくはこちら

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