【健康の格言#092】○○過ぎは不健康の元

 

Vol.092「○○過ぎは不健康の元」

なぜ○○過ぎは体を壊すのか

考えすぎて眠れない夜が続いている。休みなく働き続けて疲れが取れない。急に運動を始めて体が悲鳴を上げている。

これらはすべて体からのSOSサインです。

○○過ぎは不健康の元。

理学療法士として37年間、25万回以上の施術を行ってきた中で確信していることがあります。慢性的な疲労や痛みを抱えている方の多くに共通しているのが何らかの○○過ぎの習慣です。

なぜ過剰な刺激が体に悪影響をもたらすのでしょうか。それぞれのメカニズムを医学的な観点から解説します。

考えすぎが引き起こす生理学的変化

慢性的な過剰思考は心理的ストレス反応を継続的に引き起こします。

視床下部・下垂体・副腎系と呼ばれるストレス応答システムが活性化されてコルチゾールが慢性的に高い状態になります。

コルチゾールの慢性的な高値は以下の影響をもたらします。

海馬の神経細胞の萎縮が起きて記憶力と集中力が低下します。免疫機能が抑制されて感染症や炎症に対する抵抗力が低下します。筋肉タンパクの分解が促進されて筋力が低下します。睡眠の質が低下してノンレム睡眠の割合が減少します。

また過剰思考は扁桃体の過活動を引き起こします。扁桃体の過活動は交感神経を慢性的に優位にして血管収縮・心拍数増加・筋緊張の継続をもたらします。これが慢性的な肩こりや頭痛の神経学的な原因の一つです。

働きすぎが引き起こす生理学的変化

体の修復と再生は休息中にしか起きません。働きすぎによって休息時間が削られると以下の問題が生じます。

成長ホルモンの分泌不足が起きます。成長ホルモンは睡眠中のノンレム睡眠時に集中的に分泌されます。睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が不足して筋肉や結合組織の修復が不完全になります。

自律神経のリセット不全も起きます。副交感神経優位の状態は休息中にしか得られません。働きすぎによって副交感神経への切り替えが不完全になると交感神経優位の状態が慢性化して血管収縮と筋緊張が持続します。

免疫機能の低下も生じます。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性は睡眠と休息によって維持されます。慢性的な過労状態ではNK細胞の活性が低下して感染症や炎症に対する抵抗力が落ちます。

急な運動のしすぎが引き起こす生理学的変化

急激な運動負荷の増加はオーバートレーニング症候群を引き起こします。

筋繊維の修復が追いつかない状態で運動を続けると慢性的な筋肉の微細損傷が蓄積します。これが炎症性サイトカインの過剰産生をもたらして全身性の炎症状態を引き起こします。

さらに視床下部・下垂体・副腎系の機能不全が生じてコルチゾールとテストステロンのバランスが崩れます。これが運動パフォーマンスの低下・慢性的な疲労感・気分障害として現れます。

急に運動をやめることの問題

重要なのは○○過ぎに気づいたとき急にやめようとすることもまた問題になるということです。

急にやめようとする、それもまた「やめすぎ」なんです。

例えば長期間の過労後に急に完全休養を取ると社会的時差ぼけが生じて概日リズムが乱れます。過剰思考を急に止めようとすると抑制への意識がかえって思考を活性化させる白熊効果と呼ばれる現象が起きます。激しい運動を急に止めると筋肉量の急速な低下と代謝の低下が起きます。

脳と体は急激な変化に対して防御反応を示します。緩やかな変化の方が自然に適応していけるんです。

緩やかな変化が効果的な理由

神経系の適応という観点から緩やかな変化が効果的な理由を説明します。

ヘッブの法則によれば同時に発火するニューロンは結合するという原則があります。毎日少しずつ繰り返される新しい行動が対応する神経回路を徐々に強化していきます。これが習慣の形成メカニズムです。

一方で急激な変化は脳のホメオスタシス機能によって元の状態に戻ろうとする力が働きます。ホメオスタシスとは体が一定の状態を維持しようとする恒常性の働きです。緩やかな変化はこのホメオスタシスの抵抗を受けにくく新しい状態として定着しやすいんです。

今日からできる具体的な改善法

考えすぎていると気づいたら深呼吸を3回してください。腹式呼吸によって迷走神経が刺激されて副交感神経が優位になります。扁桃体の過活動が抑制されて思考の暴走が落ち着きやすくなります。

仕事の合間に5分だけ目を閉じてください。閉眼することで視覚情報の処理に使われていた脳のリソースが解放されます。デフォルトモードネットワークが活性化して脳の疲労回復が促進されます。

運動は今の半分の時間から始めてください。段階的漸進負荷の原則に従って体が新しい運動負荷に適応できるよう時間をかけて増やしていきます。

まとめ

考えすぎはコルチゾールの慢性的高値と交感神経の過活動を引き起こして肩こりや睡眠障害につながる。

働きすぎは成長ホルモンの分泌不足・自律神経リセット不全・免疫機能の低下を引き起こして慢性的な疲労を固定化させる。

急な運動のしすぎはオーバートレーニング症候群を引き起こして炎症の慢性化とパフォーマンスの低下をもたらす。

急にやめようとすることも「やめすぎ」であり脳のホメオスタシスによって元に戻ろうとする力が働いて逆効果になる。

緩やかな変化は神経系の適応を促して新しい習慣として定着しやすい。

少しずつ少しずつ変えていくことが体には最も優しく効果的な方法です。

鹿児島の整体おんおんどう

理学療法士 迫田徳昭

施術歴37年・施術実績25万回

鹿児島市小野3-2-7

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