【#110健康の格言】腰痛の時はコルセットをうまく使いましょう

【#110健康の格言】
腰痛の時はコルセットをうまく使いましょう

 

コルセットが腰痛を悪化させるメカニズム

コルセットをずっとつけ続けている方に一つ確認したいことがあります。

コルセットなしで10秒間まっすぐ立てますか。

 

立てない方はすでに腹筋がコルセットに頼りきっている状態になっている可能性があります。

 

理学療法士として37年間、25万回以上の施術を行ってきた中で気づいたことがあります。

長期にわたってコルセットを使用し続けることで腰痛が改善しないどころか,

悪化しているケースが少なくありません。

 

コルセットは使い方次第で薬にも毒にもなります。その理由を生理学的に解説します。

 

コルセットの適切な使用場面

急性期の腰痛に対してコルセットを使用することは理にかなっています。

 

急性腰痛における炎症期では腰椎周囲の組織が損傷を受けて炎症反応が生じています。

コルセットによって腰椎の動きを制限することで損傷組織への機械的刺激が軽減されます。

炎症の拡大を防いで組織修復を促進する効果が期待できます。

 

また急性期の強い疼痛時には体幹筋の防御的な筋スパズムが生じています。

コルセットが外部から体幹を支持することで,

筋スパズムの軽減と腰椎の安定化に寄与します。

 

これらの理由から急性腰痛の初期(おおむね発症から2〜4週間程度)におけるコルセット使用は適切なアプローチです。

 

廃用性筋萎縮のメカニズム

 

問題は急性期を過ぎた後もコルセットを継続使用することです。

 

廃用性筋萎縮という現象があります。

筋肉は使用されない状態が続くと筋タンパク質の合成が低下して分解が亢進します。

これにより筋線維の横断面積が減少して筋力が低下します。

 

コルセットが体幹を外部から支持し続ける状態では,

腰椎の安定化に寄与すべき体幹筋群が活動する機会を失います。

 

具体的には腹横筋・多裂筋・内腹斜筋・外腹斜筋といった,

いわゆるコアマッスルが廃用性萎縮を起こします。

 

研究によれば不活動状態が続くと遅筋線維(TypeI線維)が優先的に萎縮することがわかっています。

腰椎の安定化に重要な腹横筋や多裂筋は主に遅筋線維で構成されているため,

長期のコルセット使用による廃用性萎縮の影響を特に受けやすい筋群です。

 

腹腔内圧と脊椎安定化の関係

 

コアマッスルが機能する重要な理由の一つに腹腔内圧(IAP)の上昇メカニズムがあります。

 

体幹筋群が協調して収縮することで腹腔内圧が上昇します。

この腹腔内圧の上昇は腰椎前方からの支持力として機能して脊椎の安定化に大きく貢献します。

 

研究によれば腹腔内圧の上昇は脊椎伸展モーメントを生成して,

腰椎の椎間板への圧縮負荷を軽減する効果があることが示されています。

 

コルセットは外部から腹部を圧迫することで,

腹腔内圧を人工的に上昇させます。

 

この機能自体は腰椎安定化に有効です。しかし本来この役割を担うべき体幹筋群が廃用性萎縮を起こすと自身の筋活動による腹腔内圧上昇ができなくなります。

 

その結果コルセットを外した状態では腰椎の安定化機能が著しく低下して,

ちょっとした動作でぎっくり腰が生じやすくなります。

これがコルセット依存による新たな腰痛リスクの正体です。

 

腸腰筋の役割と慢性腰痛との関係

 

腰痛の根本原因として腸腰筋のコリも重要な要素です。

 

腸腰筋は大腰筋と腸骨筋から構成されます。

大腰筋は第12胸椎から第4腰椎の椎体と横突起から起始して小転子に停止します。

腸骨筋は腸骨窩に起始して大腰筋と合流して小転子に停止します。

 

腸腰筋の主な機能は股関節屈曲と腰椎の安定化です。

長時間の座位姿勢や慢性的なストレスによって,

腸腰筋が短縮位で固まると骨盤の前傾が増大します。

 

骨盤の前傾増大は腰椎の前弯を強めて,腰椎後方の関節面への圧迫を増大させます。

 

さらに腸腰筋の内側深部には腹腔神経叢が位置しています。

腸腰筋の慢性的な短縮と緊張は,

腹腔神経叢周囲への圧迫を引き起こす可能性があり,

自律神経のバランスに影響することがあります。

 

コルセットは腸腰筋の短縮や骨盤アライメントの問題には何もアプローチできません。

外部から腰を支えるだけでは根本原因は何も変わらないということです。

 

コルセットの適切な離脱方法

 

コルセットを長期使用してきた方が急に使用を中止すると,

廃用性萎縮した体幹筋群が突然腰椎を支えなければならなくなります。

 

これは新たな腰痛を引き起こすリスクがあります。

 

適切な離脱プロセスとして以下のアプローチを推奨します。

段階的な使用時間の短縮が重要です。

痛みのない状態でコルセットなしで過ごす時間を少しずつ増やしていきます。

体幹筋群に徐々に負荷をかけて廃用性萎縮からの回復を促します。

 

体幹筋の再教育も必要です。

腹横筋の選択的収縮練習(ドローイン)から始めて徐々に多裂筋・内腹斜筋を含めたコアマッスル全体の活性化を図ります。

 

腸腰筋のリリースも並行して行います。

腸腰筋の短縮と骨盤アライメントの問題を改善することで腰椎への負担を根本から軽減します。

 

当院のアプローチ

おんおんどうでは慢性腰痛とコルセット依存を抱える患者さんに対して,

お腹の深部にある腸腰筋のコリを解消することと,

体幹筋群の再活性化を組み合わせたアプローチを行っています。

 

コルセットという外部サポートへの依存から脱却して,

自身の体幹筋群で腰椎を支えられる体を取り戻すことが根本的な腰痛改善への道筋です。

 

まとめ

コルセットは急性腰痛の初期における腰椎の安定化と炎症抑制に有効であるが長期使用は体幹筋群の廃用性筋萎縮を引き起こす。

 

廃用性筋萎縮によって腹横筋・多裂筋などのコアマッスルが弱化すると腹腔内圧の自律的な上昇ができなくなり腰椎安定化機能が著しく低下する。

 

腸腰筋の慢性的な短縮と緊張は骨盤前傾の増大と腹腔神経叢への圧迫を通じて腰痛と自律神経の乱れを引き起こす根本原因である。

 

コルセットは腸腰筋の短縮や骨盤アライメントの問題には作用できず外部から腰を支えるだけでは根本原因には何もアプローチできない。

 

コルセット依存からの離脱には段階的な使用時間の短縮と体幹筋の再教育および腸腰筋のリリースを組み合わせたアプローチが必要である。

 

コルセットをうまく使いながら根本原因にアプローチすることが慢性腰痛からの根本的な回復への道筋です。

 

鹿児島の整体おんおんどう
理学療法士 迫田徳昭
施術歴37年・施術実績25万回
鹿児島市小野3-2-7
10:00〜20:00(日祝OK・完全予約制)

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