ぎっくり腰は突然起きているわけではない
ぎっくり腰を経験した方の多くが「突然なった」とおっしゃいます。
しかし理学療法士として37年間、25万回以上の施術を行ってきた中で確信していることがあります。
ぎっくり腰は突然起きているように見えて、
実は毎日の動作の積み重ねが原因なんです。
物を拾うとき、洗顔をするとき、掃除をするとき。
膝を伸ばしたまま前かがみになるという動作を毎日何十回も繰り返していませんか。
この小さな負荷の積み重ねが椎間板を少しずつ変形させて、
ある日の何気ない動作がきっかけで限界を超えます。これがぎっくり腰の正体です。
前かがみ動作における椎間板への生体力学的負荷
人間の脊椎は椎体と椎間板が交互に積み重なった構造をしています。
椎間板は線維輪と髄核から構成されており、
隣接する椎体間のクッションとして機能しながら脊椎の可動性を保つ重要な組織です。
スウェーデンの整形外科医ナッヘムソンの研究によれば,
体幹の姿勢によって腰椎椎間板にかかる圧力が大きく変化することが示されています。
この研究では安静立位での椎間板内圧を100%とした場合の,
各姿勢での相対圧力が測定されています。
前傾立位(体幹前傾20度)では約150%の圧力になります。
さらに前傾して物を持ち上げる動作では200%を超える圧力が生じることがあります。
膝を伸ばしたまま前かがみになる姿勢では,
股関節屈曲に伴い骨盤が前傾して腰椎が屈曲します。
この状態では脊柱起立筋群が体幹を支えるために強く収縮する必要があります。
この筋収縮力が椎間板への圧迫力として加算されることで椎間板内圧が著しく上昇します。
椎間板変性のメカニズム
椎間板への過大な圧力が繰り返されると以下の変性プロセスが進行します。
髄核の変性という変化が起きます。
椎間板の中心にある髄核は水分を多く含むゲル状の組織です。
繰り返される過大な圧力によって髄核の水分保持能力が低下します。
これが椎間板の高さ低下と弾力性の減少につながります。
線維輪への微細損傷という変化も起きます。
椎間板の外周を取り囲む線維輪は膠原線維が多層構造をなしています。
繰り返される屈曲荷重によってこの膠原線維に微細な断裂が蓄積されます。
これらの変性が進行した椎間板は通常では問題にならないような軽度の外力に対しても脆弱になります。
ちょっとした前かがみ動作や軽いものを持ち上げる動作がぎっくり腰のきっかけになるのはこのためです。
膝関節屈曲による腰椎保護メカニズム
前かがみになるとき膝を軽く曲げて腰を落とすことで、
どのような生体力学的変化が起きるのでしょうか。
股関節と膝関節の協調作用という効果があります。膝関節を屈曲させることで股関節の屈曲角度が制限されます。
これにより骨盤の前傾が抑制されて腰椎の屈曲が軽減されます。
腰椎への曲げモーメントが減少することで椎間板への圧力が低下します。
大腿四頭筋とハムストリングスへの荷重分散という効果もあります。
膝関節屈曲位では大腿四頭筋が活動して体重を支えます。
同時にハムストリングスと大殿筋が協調して骨盤と体幹を安定させます。
これらの大筋群が荷重を担うことで脊柱起立筋への負担が軽減され,
椎間板内圧の上昇が抑制されます。
重心の変化という効果もあります。
膝を曲げて腰を落とす姿勢では重心が下がります。
重心が下がることで体幹の安定性が向上してバランスを保つための余分な筋活動が減少します。
これが全体的な腰椎への負荷軽減につながります。
日常動作における累積負荷と予防の重要性
前かがみになる動作は日常生活において非常に頻繁に繰り返されます。
洗顔、歯磨き、料理、掃除、物の持ち上げ。
これらを合計すると一日に何十回もの前かがみ動作が行われています。
一回あたりの椎間板への過負荷は軽微であっても、
これが何年にもわたって積み重なることで椎間板変性が進行します。
ぎっくり腰の多くはこの累積負荷の結果として起きています。
逆に言えば、毎日何十回も行う動作を改善することは、
一回の良いことをするよりはるかに大きな予防効果をもたらします。
膝を曲げるという単純な動作の変更が長期的な椎間板保護に大きく貢献します。
腰椎椎間板への負荷は,
単一の大きな外力よりも繰り返される小さな負荷の累積によって,
変性が進行するという観点から、
日常動作の改善は薬物療法や徒手療法と同等あるいはそれ以上の重要性を持つアプローチと言えます。
当院のアプローチ
おんおんどうではぎっくり腰や慢性腰痛の患者さんに対して施術と並行して日常動作の評価と指導も行っています。
椎間板への累積負荷を減らすための動作改善と、お腹の深部にある腸腰筋のコリを解消することによる骨盤アライメントの改善を組み合わせることが腰痛の根本的な予防と改善につながります。
まとめ
ぎっくり腰は突然起きているように見えるが毎日の前かがみ動作における椎間板への累積負荷が本質的な原因である。
膝を伸ばしたまま前かがみになる姿勢では股関節屈曲による骨盤前傾と脊柱起立筋の強収縮により椎間板内圧が著しく上昇する。
繰り返される過大な圧力は髄核の変性と線維輪の微細損傷を引き起こし椎間板を脆弱化させる。
膝を軽く曲げて腰を落とす動作では大腿四頭筋とハムストリングスへの荷重分散と骨盤前傾の抑制により腰椎への負荷が大幅に軽減される。
一日何十回も繰り返す動作を改善することは累積負荷の観点からぎっくり腰の予防に非常に効果的なアプローチである。
今日から洗顔のときだけ膝を少し曲げることを意識してみてください。
鹿児島の整体おんおんどう
理学療法士 迫田徳昭
施術歴37年・施術実績25万回
鹿児島市小野3-2-7
10:00〜20:00(日祝OK・完全予約制)
★Youtubeで動画も見られます
https://youtube.com/shorts/k6HEmSAtgF8
※一般的な健康情報です。医学的に十分に証明されていない内容を含む場合があります。
🏠 ★整体おんおんどう|鹿児島市小野町
自律神経・姿勢・おなかの専門整体
▶ ご予約・詳細はこちら
●お問い合わせは公式LINE→https://lin.ee/7ym8CrL
整体おんおんどう【健康の格言】講座:身体は、必ず良くなろうとしているについて詳しくはこちら
この記事に関する関連記事
- 【総論】おなかのコリがからだに良くない7つの理由
- 【#107健康の格言】 ガマンするのは3日まで
- 【#106健康の格言】 休憩はこまめに短くとりましょう
- 【#104健康の格言】運動はCM中がおススメです
- 【#103健康の格言】「痛いぐらいが良い」「ガマンするぐらいの方が良く効く」は間違いで「気持ち良いくらい」が正解
- 【#102健康の格言】冷シップは患部を冷やすものではない
- 【#101健康の格言】『かたい布団は腰に良い』は大嘘
- 【#100健康の格言】今の自分に責任を持ちましょう
- 【#098健康の格言】最近話がかみあわなくなった友達、居づらくなった場所ってないですか?
- 【#098健康の格言】最近話がかみあわなくなった友達、居づらくなった場所ってないですか?
- 【#097健康の格言】『迫田徳昭は1日1食しかたべない』って本当?
- 【#096健康の格言】健康な人の体温は36.5~37.0度
- 【健康の格言#093】その季節に取れる野菜を食べる!
- 【健康の格言#092】○○過ぎは不健康の元
- 【健康の格言#091】完璧な健康より、昨日よりちょっと良い健康を
- 【健康の格言#090】痛いは居たい?
- 【健康の格言#089】前からの姿よりも後ろからの姿を大切に
- 【健康の格言#088】シャワーではなく、湯船につかろう
- 【健康の格言#087】疲れはこまめに取ろう
- 【健康の格言#086】目の疲れには目の温湿布
- 【肩こりの盲点#094】半身浴では肩こりが治らない本当の理由
- 【健康の格言#084】毎日筋トレしているのに筋肉がつかない本当の理由
- 【#086健康の格言】治療は睡眠にかなわない
- 【#107健康の格言】ガマンするのは3日まで
- 【#095健康の格言】お腹のコリはゆがみのサイン
- 【#083健康の格言】温湿布は、温めた事にはならない。
- 【#082健康の格言】肩こりの原因は「肩」にない
- 【#081健康の格言】病気を治すことは生活を正すこと
- 【#080健康の格言】鎮痛薬は、「治す」のではなく「抑える」薬
- 【#079健康の格言】生理痛は、生理の時だけの問題じゃない!
- 【#076健康の格言】症状はからだからのメッセージ
- 腰椎椎間板ヘルニアがあっても痛くない人がいるのはなぜ?痛みの本当の原因を鹿児島の整体師が解説
- 坐骨神経痛・ヘルニアは手術なしで治る?本当の原因を解説|鹿児島市おんおんどう
- 産後の「体重が落ちない・お腹が凹まない」を根本改善|鹿児島市 整体おんおんどう
- あなたの仕事が背中を痛めている——職業別・背中の痛みの原因と対処法を鹿児島の整体師が解説
- 【#074健康の格言】身につけている色を変えて健康に
- 【#072健康の格言】他の人のために、健康でいる
- 【#071健康の格言】大切なことは目に見えない
- 【#070健康の格言】本音の時間を作る
- 【#069健康の格言】病名を忘れてみる
- 【#068健康の格言】笑う門には健康きたる
- 【#067健康の格言】綺麗な言葉を意識して使ってみましょう
- 【#066健康の格言】化粧をするとき肌に摩擦を与えないように心がけよう
- 【#065健康の格言】楽な姿勢は、背中が丸い
- 【#062健康の格言】辛い時は、泣いてみる。
- 【#060健康の格言】『過去の原因』は改善できない。『今できること』から改善する。
- 【#059健康の格言】1日1回、体のことを気にしてみる
- 【#056健康の格言】継続は(健康の)力なり
- 【#055健康の格言】病は気から
- 【#054健康の格言】座る時、立ち上がるときは“ちょうちん”をイメージして
- 【#053健康の格言】指は、手のひらまでが指
- 【#052健康の格言】おじぎは、股関節の軸を後ろに持っていくイメージで
- 【#051健康の格言】腕を動かす時は、うしろの肩甲骨から動かすイメージで
- 【#050健康の格言】痛みの原因は「つくりが似ている場所」にある
- 【#049健康の格言】痛みのホントの原因は、反対側にある(その2)
- 【#048健康の格言】痛みのホントの原因は、反対側にある(その1)
- 【#047健康の格言】骨は急には変形しない
- 【#046健康の格言】健康になるには運動をやめよう
- 【#045健康の格言】昼間どうしても眠くなる時は、コレをしよう
- 【#044健康の格言】正しいフォームを意識しよう
- 【#043健康の格言】経口補水液の作り方
- 【#042健康の格言】カラダは消耗品であるということを自覚しよう
- 【#041健康の格言】「力を抜く」ことを意識しよう。
- 【#040健康の格言】「やせたいけど、面倒」ではなく、「面倒だけど、やせたい」と言おう。
- 【健康の格言 Vol.039】着実に身体をよくする3つの基本姿勢(意識)
- 【健康の格言 Vol.038】呼吸を意識しよう
- 【健康の格言 Vol.037】手は「ていねいに」使おう
- 【健康の格言 Vol.036】材料さえあればすぐできる手荒れ対策
- 【健康の格言 Vol.035】パソコンやスマホ、見すぎると首コリがやってきますよ
- 【健康の格言 Vol.034】あなたが思う「普通の生活」——実は普通じゃないかもしれない
- 【健康の格言 Vol.033】寝る前にはちみつ入りホットミルクで、ぐっすり眠ろう
- 【#032健康の格言】「ストレス」は精神的なものだけではない
- 【#031健康の格言】きつい服や下着は、ゆがみのもと
- 【#030健康の格言】3つある「健康」の定義を知ろう
- 【#029健康の格言】行動したければ、情報を遮断しよう!
- 【#028健康の格言】たまには自分の時間を作ろう
- 【#027 健康の格言】人生は“笑いのほうが多い”
- 【#026 健康の格言】体には“6つの温めポイント”がある!
- 【#022健康の格言】薬を飲んだから治ったは大間違い!
- 【#025健康の格言】肩こりには肘を温める
- 【#028 健康の格言】自分の時間を作ろう
- 【#024健康の格言】腰痛の“85%は原因不明
- 【#023健康の格言】コリは強く揉めば揉むほど悪化する
- 【#022健康の格言】薬を飲んだから治ったは大間違い!
- 【#021健康の格言】良い姿勢でも1時間続ければ悪い姿勢
- 【#020健康の格言】あれ!?なんか調子が悪いぞ?と思ったら、スグ掃除
- 【#019健康の格言】偏頭痛解消には”肩甲骨ぐるぐる”を
- 【健康の格言 #018】眼精疲労の解消には両耳を外側に引っ張って!
- 【健康の格言 #017】風邪を引いたら“無理に食べない
- 【健康の格言 #016】エネルギー状態のよい寝かた
- 【健康の格言 #015】免疫を鍛えるためにも『風邪』をひくのは大事
- 【健康の格言 #014】それ食べるの、1割だけガマンしませんか?
- 【健康の格言 #013】頭痛・吐き気・めまい。ひどい症状を伴うとき、まずは病院で診察を!
- 【健康の格言 #012】風邪は首からやってくる
- 【健康の格言 #011】消化吸収には時間がかかる
- 【#010健康の格言】#010百円カイロの上手な使い方
- 【健康の格言 #009】体軸を常に意識しよう(その2)
- 【健康の格言 #008】体軸を常に意識しよう(その1)
- 【健康の格言 #007】たまには自分のからだに「ありがとう」を!
- 【健康の格言 #006】腰痛解消には“カエル脚”で寝転がろう(ものぐさな人向け)
- 【健康の格言 #005】モノをつかむ時は、小指を意識しましょう
- 【健康の格言 #004】歩く時は、おへその横から足をもちあげるイメージで歩こう
- 【健康の格言 #003】背中のはりをとるセルフケア
- 【健康の格言 #002】セルフで骨盤締めてダイエット
- 【健康の格言 #001】気をつけ”が正しい姿勢じゃない
- こんなに違う腰痛の原因と病名のいろいろ
- こんなにある。腰痛の原因と症状の違い
- 坐骨神経痛みたいな症状の梨状筋症候群って知っていますか?
- 坐骨神経痛と間違えられる梨状筋症候群ってご存知ですか?
- 温々堂 365日健康講座 「健康の格言」
- 【第7回】猫背の本当の原因は「お腹のコリ」にあった
- 頭蓋骨を使った腰痛症のケア
- 【第1回】ガンコな腰痛の原因、それは「おなかのコリ」です!
- ギックリ腰は温めるのがいいいのか、冷やすのがいいのか・・
- ぎっくり腰の治療ってあるの?
- AKA療法:仙腸関節をもっと詳しく知りたいあなたへ
- AKA療法:腰の激痛は仙腸関節機能障害が原因?
- 【第1回】楽にならない腰痛の原因は「お腹のコリ」だった






お電話ありがとうございます、
鹿児島の整体おんおんどうでございます。