湿布を何年使っても治らない方への一つの質問
最後に湿布を貼らずに過ごした日はいつですか。
すぐに思い出せない方は、湿布への依存が体の回復を妨げている可能性があります。
慢性的な痛みを抱えながら何年も湿布だけで対処してきた方の多くが、根本的な改善に至らないまま症状を繰り返しています。
冷湿布の薬理作用と冷却効果の誤解
冷湿布の正式名称は冷感ハップ剤です。この名称が示す通り、冷湿布は実際に患部の温度を下げているわけではありません。
冷湿布にはメントールやハッカ油などの成分が含まれています。
これらの成分は皮膚にあるTRPM8と呼ばれる冷受容体を刺激します。
TRPM8は本来低温を感知するための受容体ですが、メントールなどの化学物質によっても活性化されることがわかっています。
つまり冷湿布の「ひんやり感」は実際の温度変化ではなく、化学受容体への刺激によって脳が「冷たい」と錯覚している状態です。
皮膚表面の実測温度はほとんど変化していないことが温度測定の研究でも示されています。
本当に患部を冷却して炎症を抑えたい場合は、氷のうやアイスパックなど実際に熱を奪う物理的な冷却方法が必要です。
温湿布の薬理作用と温熱効果の誤解
温湿布にはトウガラシに含まれるカプサイシンなどの成分が配合されています。
カプサイシンはTRPV1という温受容体を刺激することで「温かい」という感覚を引き起こします。
しかしこれも冷湿布と同様の原理であり、実際に皮膚の深部組織の温度を上昇させているわけではありません。
皮膚表面の感覚受容体への化学的刺激による感覚です。
筋肉や関節の深部まで温めて血流を改善したい場合は、入浴や温熱パックなど実際に熱エネルギーを伝導させる方法が必要です。
湿布の消炎鎮痛成分の作用機序
湿布には冷感や温感をもたらす成分とは別に、消炎鎮痛成分が配合されています。
代表的な成分としてサリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナクなどがあります。
これらの成分はシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害します。
COXはプロスタグランジンという炎症や痛みを引き起こす物質を生成する酵素です。
COXの働きが阻害されることでプロスタグランジンの産生が減少し、炎症反応と痛みの感覚が一時的に軽減されます。
この作用は急性の炎症や軽度の痛みに対しては一定の効果があります。しかし重要な点は、この作用は痛みの「シグナル」を抑制しているだけであり、痛みの「原因」そのものには影響を与えていないということです。
痛みのシグナルと原因の違い
痛みは体にとって重要な警告システムです。
侵害受容器という痛みを感知するセンサーが組織の異常を検知し、その情報を脊髄を通じて脳に伝達します。
慢性的な肩こりや腰痛の多くは、筋肉の持続的な緊張、血流障害、骨格の歪みといった構造的・機能的な問題が根本原因になっています。
これらの問題が侵害受容器を刺激し続けることで痛みのシグナルが発生し続けます。
湿布の消炎鎮痛成分はこのシグナル伝達経路の一部(プロスタグランジンの産生)を一時的に抑制しますが、根本原因である筋肉の緊張や骨格の歪みには何の作用も及ぼしません。
これは火災報知器が作動しているときにアラームの電源を切る行為に類似しています。
警告音(痛みのシグナル)は止まりますが、火災(根本原因)そのものは進行し続けています。
慢性痛における中枢性感作との関係
根本原因が解決されないまま痛みのシグナルだけが繰り返し抑制・再発する状態が長期間続くと、脊髄後角における中枢性感作という現象が生じることがあります。
中枢性感作とは、痛みを処理する神経経路が過敏になり、本来であれば痛みとして感知されないような弱い刺激にも痛みを感じるようになる状態です。
これが慢性疼痛の維持・悪化に関与していることが痛み研究の分野で明らかになっています。
つまり根本原因を解決せずに痛みのシグナルだけを繰り返し抑制し続けることは、長期的には痛みをより感知しやすい体の状態を作り出すリスクがあるということです。
根本原因へのアプローチの重要性
慢性的な痛みから回復するためには、痛みのシグナルを一時的に抑える対症療法だけでなく、根本原因にアプローチすることが不可欠です。
当院では筋肉の表面的な緊張だけでなく、お腹の深部にある腸腰筋などの深部筋の状態を含めて全身の歪みのパターンを評価しています。
腸腰筋の緊張は骨盤の歪みを引き起こし、それが背中側の様々な不調の原因になっているケースが少なくありません。
表面的な痛みの場所だけを見るのではなく、その痛みを引き起こしている構造的な原因を特定して整えることが、湿布だけでは到達できない根本的な改善への道筋です。
まとめ
冷湿布はメントールによる冷受容体への化学的刺激であり、実際に患部の温度を下げているわけではない。
温湿布はカプサイシンによる温受容体への化学的刺激であり、実際に深部組織を温めているわけではない。
湿布の消炎鎮痛成分はプロスタグランジンの産生を抑制して痛みのシグナルを一時的に軽減するが、根本原因には作用しない。
根本原因が解決されないまま痛みのシグナルだけを抑制し続けることは中枢性感作のリスクを高める可能性がある。
慢性的な痛みの改善には、筋肉の緊張や骨格の歪みといった根本原因へのアプローチが不可欠である。
何年湿布を使い続けていますか。一度根本原因を確認してみることをお勧めします。
鹿児島の整体おんおんどう
理学療法士 迫田徳昭
施術歴37年・施術実績25万回
鹿児島市小野3-2-7
10:00〜20:00(日祝OK・完全予約制)
★Youtubeで動画も見られます
https://youtube.com/shorts/PtDGPU8SbcE
※一般的な健康情報です。医学的に十分に証明されていない内容を含む場合があります。
🏠 ★整体おんおんどう|鹿児島市小野町
自律神経・姿勢・おなかの専門整体
▶ ご予約・詳細はこちら
●お問い合わせは公式LINE→https://lin.ee/7ym8CrL
整体おんおんどう【健康の格言】講座:身体は、必ず良くなろうとしているについて詳しくはこちら
この記事に関する関連記事
- 【#107健康の格言】 ガマンするのは3日まで
- 【#106健康の格言】 休憩はこまめに短くとりましょう
- 【#105健康の格言】前かがみ姿勢になる時は、軽く膝を曲げ少し腰を落とす
- 【#104健康の格言】運動はCM中がおススメです
- 【#103健康の格言】「痛いぐらいが良い」「ガマンするぐらいの方が良く効く」は間違いで「気持ち良いくらい」が正解
- 【#101健康の格言】『かたい布団は腰に良い』は大嘘
- 【#100健康の格言】今の自分に責任を持ちましょう
- 【#098健康の格言】最近話がかみあわなくなった友達、居づらくなった場所ってないですか?
- 【#098健康の格言】最近話がかみあわなくなった友達、居づらくなった場所ってないですか?
- 【#097健康の格言】『迫田徳昭は1日1食しかたべない』って本当?
- 【#096健康の格言】健康な人の体温は36.5~37.0度
- 【健康の格言#093】その季節に取れる野菜を食べる!
- 【健康の格言#092】○○過ぎは不健康の元
- 【健康の格言#091】完璧な健康より、昨日よりちょっと良い健康を
- 【健康の格言#090】痛いは居たい?
- 【健康の格言#089】前からの姿よりも後ろからの姿を大切に
- 【健康の格言#088】シャワーではなく、湯船につかろう
- 【健康の格言#087】疲れはこまめに取ろう
- 【健康の格言#086】目の疲れには目の温湿布
- 【肩こりの盲点#094】半身浴では肩こりが治らない本当の理由
- 【健康の格言#084】毎日筋トレしているのに筋肉がつかない本当の理由
- 【#086健康の格言】治療は睡眠にかなわない
- 【#107健康の格言】ガマンするのは3日まで
- 【#095健康の格言】お腹のコリはゆがみのサイン
- 【#083健康の格言】温湿布は、温めた事にはならない。
- 【#082健康の格言】肩こりの原因は「肩」にない
- 【#081健康の格言】病気を治すことは生活を正すこと
- 【#080健康の格言】鎮痛薬は、「治す」のではなく「抑える」薬
- 【#079健康の格言】生理痛は、生理の時だけの問題じゃない!
- 【#076健康の格言】症状はからだからのメッセージ
- あなたの仕事が背中を痛めている——職業別・背中の痛みの原因と対処法を鹿児島の整体師が解説
- 【#074健康の格言】身につけている色を変えて健康に
- 【#072健康の格言】他の人のために、健康でいる
- 【#071健康の格言】大切なことは目に見えない
- 【#070健康の格言】本音の時間を作る
- 【#069健康の格言】病名を忘れてみる
- 【#068健康の格言】笑う門には健康きたる
- 【#067健康の格言】綺麗な言葉を意識して使ってみましょう
- 【#066健康の格言】化粧をするとき肌に摩擦を与えないように心がけよう
- 【#065健康の格言】楽な姿勢は、背中が丸い
- 【#062健康の格言】辛い時は、泣いてみる。
- 【#060健康の格言】『過去の原因』は改善できない。『今できること』から改善する。
- 【#059健康の格言】1日1回、体のことを気にしてみる
- 【#056健康の格言】継続は(健康の)力なり
- 【#055健康の格言】病は気から
- 【#054健康の格言】座る時、立ち上がるときは“ちょうちん”をイメージして
- 【#053健康の格言】指は、手のひらまでが指
- 【#052健康の格言】おじぎは、股関節の軸を後ろに持っていくイメージで
- 【#051健康の格言】腕を動かす時は、うしろの肩甲骨から動かすイメージで
- 【#050健康の格言】痛みの原因は「つくりが似ている場所」にある
- 【#049健康の格言】痛みのホントの原因は、反対側にある(その2)
- 【#048健康の格言】痛みのホントの原因は、反対側にある(その1)
- 【#047健康の格言】骨は急には変形しない
- 【#046健康の格言】健康になるには運動をやめよう
- 【#045健康の格言】昼間どうしても眠くなる時は、コレをしよう
- 【#044健康の格言】正しいフォームを意識しよう
- 【#043健康の格言】経口補水液の作り方
- 【#042健康の格言】カラダは消耗品であるということを自覚しよう
- 【#041健康の格言】「力を抜く」ことを意識しよう。
- 【#040健康の格言】「やせたいけど、面倒」ではなく、「面倒だけど、やせたい」と言おう。
- 【健康の格言 Vol.039】着実に身体をよくする3つの基本姿勢(意識)
- 【健康の格言 Vol.038】呼吸を意識しよう
- 【健康の格言 Vol.037】手は「ていねいに」使おう
- 【健康の格言 Vol.036】材料さえあればすぐできる手荒れ対策
- 【健康の格言 Vol.035】パソコンやスマホ、見すぎると首コリがやってきますよ
- 【健康の格言 Vol.034】あなたが思う「普通の生活」——実は普通じゃないかもしれない
- 【健康の格言 Vol.033】寝る前にはちみつ入りホットミルクで、ぐっすり眠ろう
- 【#032健康の格言】「ストレス」は精神的なものだけではない
- 【#031健康の格言】きつい服や下着は、ゆがみのもと
- 【#030健康の格言】3つある「健康」の定義を知ろう
- 【#029健康の格言】行動したければ、情報を遮断しよう!
- 【#028健康の格言】たまには自分の時間を作ろう
- 【#027 健康の格言】人生は“笑いのほうが多い”
- 【#026 健康の格言】体には“6つの温めポイント”がある!
- 【#022健康の格言】薬を飲んだから治ったは大間違い!
- 【#025健康の格言】肩こりには肘を温める
- 【#028 健康の格言】自分の時間を作ろう
- 【#024健康の格言】腰痛の“85%は原因不明
- 【#023健康の格言】コリは強く揉めば揉むほど悪化する
- 【#022健康の格言】薬を飲んだから治ったは大間違い!
- 【#021健康の格言】良い姿勢でも1時間続ければ悪い姿勢
- 【#020健康の格言】あれ!?なんか調子が悪いぞ?と思ったら、スグ掃除
- 【#019健康の格言】偏頭痛解消には”肩甲骨ぐるぐる”を
- 【健康の格言 #018】眼精疲労の解消には両耳を外側に引っ張って!
- 【健康の格言 #017】風邪を引いたら“無理に食べない
- 【健康の格言 #016】エネルギー状態のよい寝かた
- 【健康の格言 #015】免疫を鍛えるためにも『風邪』をひくのは大事
- 【健康の格言 #014】それ食べるの、1割だけガマンしませんか?
- 【健康の格言 #013】頭痛・吐き気・めまい。ひどい症状を伴うとき、まずは病院で診察を!
- 【健康の格言 #012】風邪は首からやってくる
- 【健康の格言 #011】消化吸収には時間がかかる
- 【#010健康の格言】#010百円カイロの上手な使い方
- 【健康の格言 #009】体軸を常に意識しよう(その2)
- 【健康の格言 #008】体軸を常に意識しよう(その1)
- 【健康の格言 #007】たまには自分のからだに「ありがとう」を!
- 【健康の格言 #006】腰痛解消には“カエル脚”で寝転がろう(ものぐさな人向け)
- 【健康の格言 #005】モノをつかむ時は、小指を意識しましょう
- 【健康の格言 #004】歩く時は、おへその横から足をもちあげるイメージで歩こう
- 【健康の格言 #003】背中のはりをとるセルフケア
- 【健康の格言 #002】セルフで骨盤締めてダイエット
- 【健康の格言 #001】気をつけ”が正しい姿勢じゃない
- 温々堂 365日健康講座 「健康の格言」
- 肩こりのトリガーポイントは「お腹のコリ」だった
- 【第3回】肩こりに悩む人の8割は「おなかにコリ」がある
- 寝れないくらいの肩こり、実はマッサージが原因かも






お電話ありがとうございます、
鹿児島の整体おんおんどうでございます。