【#101健康の格言】『かたい布団は腰に良い』は大嘘

【#101健康の格言】『かたい布団は腰に良い』は大嘘

硬い布団が腰に良いという通説の誤り

 

朝起きたときの腰の痛みや重だるさに悩んでいる方の多くが、硬い布団を使うことが腰に良いと信じています。

しかしこれは科学的な根拠がまったくない通説です。

理学療法士として37年間、25万回以上の施術を行ってきた中で気づいたことがあります。慢性的な腰痛を抱える方の中には硬い布団やマットレスを愛用している方が少なくありません。良かれと思って使っている硬い寝具が実は腰痛の原因の一つになっているケースが多くあります。

 

 

脊椎の生理的弯曲(S字カーブ)

 

人間の脊椎は直線ではなく生理的弯曲と呼ばれるS字カーブを描いています。頸椎は前弯(前方に凸)、胸椎は後弯(後方に凸)、腰椎は再び前弯という構造です。

 

この生理的弯曲は重力に対して効率的に体を支えるための構造です。仰向けに寝た状態では腰椎の前弯により腰の部分が床方向に対して凸の状態になります。つまり仰向けに寝ると腰の部分と床(または布団)との間に自然な隙間が生じます。

 

硬い布団における隙間の問題

硬すぎる布団やマットレスはこの腰部の隙間を埋めることができません。

 

隙間が埋まらない状態では腰部を支える脊柱起立筋や腰方形筋などの筋肉群が持続的に収縮し続けることになります。これは立位や座位のときと同様の筋活動が睡眠中にも続いている状態です。

 

通常、睡眠中は筋緊張が低下して骨格筋がリラックスする時間です。しかし硬い布団により腰部の支持が不十分な場合、本来休むべき筋肉が緊張を維持し続けることになります。

 

この持続的な筋緊張が引き起こす生理学的問題として以下が挙げられます。

 

筋肉内血流の低下が起きます。持続的な筋収縮は筋肉内の毛細血管を圧迫して血流を低下させます。血流低下により筋肉への酸素供給が減少し代謝産物の蓄積が進みます。

 

筋疲労物質の蓄積が起きます。乳酸などの代謝産物が排出されずに蓄積することで朝起きたときの腰の痛みやこわばりとして自覚されます。

 

睡眠の質の低下が起きます。筋緊張が継続する状態は完全なリラックス状態に入りにくく、深いノンレム睡眠への移行が妨げられる可能性があります。

 

体圧分散の重要性

適度な柔らかさを持つ布団やマットレスは体圧分散という重要な機能を果たします。

体圧分散とは体の各部位にかかる圧力を均等に分散させることです。

硬い布団では肩・腰・お尻など出っ張った部分に圧力が集中します。

一方、適度な柔らかさの布団では体のカーブに沿って圧力が広い面積に分散されます。

 

体圧分散が適切に行われると以下の効果があります。

血流の保持という効果があります。圧力が集中する部位がないため局所的な血流低下が起きにくくなります。

 

寝返りの減少という効果もあります。

圧力集中部位の不快感による無意識の寝返りが減少して深い睡眠が維持されやすくなります。

研究によれば理想的な寝具では一晩の寝返り回数が適度に抑えられて睡眠の質が向上することが示されています。

 

筋緊張の緩和という効果もあります。体が支持されることで脊柱起立筋などの姿勢保持筋が不要な緊張をせずに済みます。

 

成長ホルモンと睡眠の質の関係

睡眠中の筋肉や組織の修復には成長ホルモンが重要な役割を果たします。

 

成長ホルモンは入眠後最初に訪れる深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の時間帯に最も多く分泌されることが知られています。

この時間帯にしっかりと深い睡眠が得られることが組織修復には不可欠です。

 

布団が硬く筋肉の緊張が続く状態では、前述の通り深い睡眠への移行が妨げられる可能性があります。

これにより成長ホルモンの分泌が不十分になり、日中に蓄積した筋肉の微細な損傷や腰部の疲労が十分に修復されないまま朝を迎えることになります。

 

この状態が慢性的に続くと、回復が追いつかない疲労の蓄積が起こり、慢性腰痛へと進行するリスクが高まります。

 

適切な寝具選びのポイント

体圧分散と支持性のバランスが取れた寝具を選ぶことが重要です。

 

仰向けに寝た状態で腰の隙間が自然に埋まり、かつ腰が深く沈み込みすぎない硬さが理想的です。

柔らかすぎる場合は逆に腰が沈み込んで,

脊椎のS字カーブが崩れて別の負担が生じる可能性があるため、

極端な柔らかさも避ける必要があります。

 

実際に布団やマットレスを選ぶ際は、仰向けで寝た状態で,

手のひらが腰の下にスムーズに入るかどうかを確認する方法があります。

手が全く入らない場合は硬すぎる可能性があり、

手首まで深く入ってしまう場合は柔らかすぎる可能性があります。

 

当院のアプローチ

おんおんどうでは慢性腰痛の患者さんに対して施術と並行して睡眠環境の見直しもお伝えしています。

 

日中の施術でいくら筋肉の緊張を緩めても、夜間の睡眠環境が体に負担を与え続けていれば改善のスピードは遅くなります。施術の効果を最大化するためには日常生活、特に睡眠の質を整えることが重要な要素です。

 

まとめ

硬い布団が腰に良いという通説には科学的根拠がなく、脊椎の生理的弯曲を考慮すると逆に腰痛を引き起こす可能性がある。

 

硬すぎる布団では腰部の自然な隙間が埋まらず、腰を支える筋肉が睡眠中も持続的に緊張し続ける。

 

適度な柔らかさを持つ布団は体圧分散により圧力を広く分散させ、筋肉の緊張緩和と睡眠の質向上に寄与する。

 

成長ホルモンは深いノンレム睡眠時に多く分泌されるため、睡眠の質が低下すると組織修復が不十分になり慢性腰痛のリスクが高まる。

 

布団選びでは硬さそのものではなく、体のカーブに適切に沿うかどうかを基準にすることが重要である。

 

今夜、自分の布団が体に合っているか確認してみてください。

 

鹿児島の整体おんおんどう
理学療法士 迫田徳昭
施術歴37年・施術実績25万回
鹿児島市小野3-2-7
10:00〜20:00(日祝OK・完全予約制)

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